URUSHI
卒業制作2013 金岡千賀子 漆器というとどういったイメージを浮かべるだろうか。高級なもの。もしくは日本的な もの。 漆器は英訳で JAPAN と呼ばれ世界的にも高く評価されている。その技術の高さ、品質、 美しさは、まさに日本の技術の集大成だ。日本では 9000 年前からその使用が認められてい る漆は日用品の器から、祭事の際の盃まで、実に様々な場面で使われてきた。今日でも、 アクリルやガラスなどの新素材に塗ることや、新たな漆の開発、現代生活にあった日用品 の生産など、様々な試みがなされている。 しかしながら、近年、ラッカーやプラスチック製品など安価で容易に作れるものが出回 ることにより、漆器の生産は低下の一途を辿っている。それらは安価で大量に作れるが、 劣化が早く、漆器に対する誤った認識も浸透しつつある。 また、先述した国外での評価は誉れ高いものではあるが、漆器=日本的という限定的な 印象を強固なものへと拍車をかけている。 そういった中だからこそ、漆そのものの魅力、漆の形について今一度考えたい。